暗号通貨勉強会:2022年の振り返り

2022年の暗号通貨関連の出来事を列挙しました

暗号通貨勉強会:2022年の振り返り

■1月

  • 2021年末時点でのWeb3系OSS開発者は月間アクティブ数で18,000人に
  • BanksyのNFT化
  • Bored Ape Yacht Clubのセールス総計が$1Bを超す
  • Y Combinatorの卒業生だけ入れる投資DAOのOrange DAO組成
  • Cathie WoodのArk Invest、2030年までにBTCが$1Mになると予測

■2月

  • SolanaのWormholeブリッジのバグが悪用され$325M相当のEtherが盗まれる(Wormholeは、Ethereum上でEtherをwETHにラップし、それがあることを確認の上Solana上でwETHを発行する仕組みだったが、Ethereum上にwETHがないのに、あると思わせてSolana上でwETHを発行、総額120,000 EtherがEthereumチェーン上に戻され失われた。)
  • 米司法省2016年に起こったBitfinexハックで奪われたBTCのうち $3.6Bを取り戻す(米国在住の30代の夫婦が逮捕された。秘密鍵はクラウド上のファイルにあり、逮捕されたカップルは、ロンダリングのため、数千個のアドレスを保有、複数の取引所にアカウントがあり、さらにWalmartのギフトカード、PlayStationなども使われていた。また、逮捕されたカップルの妻がRazzlekhanの名前でラップをYouTube等にアップしており、その衝撃的内容から cringe rapper と呼ばれ巷で話題になった。その一方で、サイバーセキュリティ、ソーシャルエンジニアリングについてのスピーカーをしたり、BitGoのコンサルタントだった時期もあるとも言われている。)
  • GamestopとImmutable Xが提携(ZK-STARKsロールアップ、9000TPS)
  • Luna Foundation、LUNAトークンをファンド等に売却して$1B調達(このLUNAは4年間のロックアップ契約)
  • スーパーボウルの広告にCoinbase、FTX、Crypto.comが登場
  • Eth Denverに15,000人が参加

■3月

  • 分散型ワイヤレスネットワークのHeliumが$200M調達
  • ウクライナに暗号通貨で$46M分の寄付が集まる
  • NFTゲームのPixelmonのアートがひどいことが話題に(Kevin)
  • Gauntletが$1Bのバリュエーションで$24Mを調達(モンテカルロシミュレーションでリスク算定)
  • 元Andreessen HorowitzのパートナーのKatie Haunが$1.5Bのクリプトファンドを組成
  • 人気NFTゲーム、Axie Infinityが利用するRonin Networkへのブリッジがハックされ、173,600 EtherとステーブルコインのUSDCが25.5M(3月29日時点の価格で総額$612M)が盗まれた(Axie Infinityの開発元のSky MavisはRonin Bridgeの9個のバリデータノードを持ち、うち5つが取引をバリデートする必要があるが、今回のハックでは、Sky Mavis自身が運営するバリデータノード4つと、Axie DAOが運営するバリデータノード1つのプライベートキーが盗まれた。ハッカーは北朝鮮のLazarus)

■4月

  • Terra、ステーブルトークンUSTの価格維持のための準備金ファンドの総額を$3Bにすることを発表
  • Tetherの空売りをしているファンドが複数あることが判明

■5月

  • ペイメントプラットフォームのStripeがステーブルトークンでの送金を可能にすることを発表(USDC+Polygon)
  • Fidelityが個人年金でのビットコイン買い入れを可能に
  • Solana7時間ダウン
  • LunaとUSTが大暴落、Luna $40B、UST $18B の計$60Bのアセットの価値がほぼゼロに

■6月

  • LidoのstETHのETHペグがはずれだしstETHのリクイディティが低くなったため、顧客からEth預金を集めてstETHで運用していたCelsiusが引き出し停止に

■7月

  • 暗号通貨ヘッジファンドのThree Arrows Capitalが倒産し清算へ(Voyagerから$660M、BlockFiから$1B、その他もろもろの取引所等から借入れていた)
  • Three Arrows Capitalに貸し付けていたBlockFiの経営が傾き、FTXによるBlockFi買収計画が進む
  • Celsiusの経営も厳しくなる
  • Solana、web3用の携帯電話を開発中と発表

■8月

  • Nomadブリッジから2.5時間で$190Mがハックされる (Nomadチームが43日前のアップグレード時にMerkle rootをゼロ(0x00)に初期化したせいで、全ての取引が自動的に認められてしまうことに。成立した取引を探し、その宛先を自分のアドレスにするだけで引き出せてしまうというイージーさで多数の「ハッカー」が殺到)
  • Tiffany、CryptoPunkのオーナーのみに250このNFTを販売。一つ当たり30Eth、購入者はそのNFTを交換でダイヤモンドのペンダントとデジタルアートを入手できる。20分で完売(その人のCryptoPunkに似せてカスタムで製造)
  • ENS、186万ENSネームが登録済みと発表
  • Coinbase、 BlackRockと提携しBlackRockの顧客企業に暗号通貨投資を提供
  • Tornado Cash、米国で使用禁止に。開発者のAlexey Pertsevはアムステルダムで逮捕される。Circle、Aave、dYdX等が少しでもTornado Cashに関わっているユーザの預け入れ資産を凍結

■9月

  • FlashbotsはTornado Cashのように米国に制裁される懸念からコードをオープンソース化
  • Ethereumのマージが成功裏に完了、PoWからPoSに移行
  • HeliumがT Mobileと提携、Helium Mobileのローンチを発表
  • 1ヶ月でのENSの登録数が史上最高の437,000件に

■10月

  • NasdaqがBitcoinとEtherのカストディサービス開始を予定していることを発表
  • Terra創業者のDo Kwonに対し、韓国が出した逮捕状に加えてインターポールがレッドノーティス(世界各国への逮捕依頼)。Do KwonはTweetで逃亡を否定
  • ユニバーサルスタジオが遊園地内でNFTが獲得できるスカベンジャーハントを開始。場内にある7か所でQRコードを読み込むとNFTが取得でき、7つ全部取得すると特別なNFTが入手できる
  • Ethereum Devcon Bogotaに8000人が集まる
  • 大手銀行のFidelityがEtherのインデックスファンドを発売。ただし適格投資家(accredited investor)のみが対象でミニマム投資額は5万ドル
  • Solana 5時間ダウン
  • Ooki DAOのメンバーがコモディティ先物取引法違反とKYC違反で米商品先物取引委員会に訴えられる。DAOのメンバーが訴えられらたのに加え、訴状がサイトのヘルプボットとフォーラムへのポストで届けられたのも話題になった

■11月

  • FTX倒産

■12月

  • 業界最大の機関投資家向けレンディングを行ってきたGenesisの倒産が危ぶまれる
  • FTXのCEO、Sam Bankman Friedがバハマで逮捕されアメリカに送還、$250Mの保釈金で両親の家で生活することに

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ブロックチェーン技術(初級編Ⅱ)

ブロックチェーン技術(初級編Ⅱ)

1.ブロックチェーン業界の現状 現在2021年時点で、Ethererumが爆発的に認知度が高まり、同時にNFTブームを巻き起こしています。日々ニュースやSNSでNFTやDeFiについて、目にしない日はありません。コロナ禍における新たな経済圏としても注目を集めています。そんなブロックチェーンの業界の現状についてみていきましょう。 [決済特化系(目的特化系)について] 基軸通貨としてはBitcoinが1強状態である。理解が進み、Bitcoinが主要な金融人からもその価値を認められつつある。主要なヘッジファンドや年金基金がドルインフレヘッジ手段として投資を開始し、価格が高騰。目的用途以外に利用できない。 [ブロックチェーン インフラ系について] Ethereumがほぼ1強状態である。DeFi(分散金融)が2020年は非常に盛り上がり、2021年にはNFTが爆発的な人気に。インターネットとWebと親和性が特に高く、分散型取引所やゲーム内通貨を想定したマーケットプレースなどの実装も進む。ただし、速度問題が重くのしかかり、手数料も高騰。ゆえにEnterpriseの実装も進まない。 [専用シ

By G.U.Staff
ブロックチェーン技術(初級編I)

ブロックチェーン技術(初級編I)

1.ブロックチェーンとは? ブロックチェーン(Blockchain)とは、暗号技術を使ってリンクされたブロックと呼ばれるレコードの増大するリストである。各ブロックには、前のブロックの暗号化ハッシュ 、タイムスタンプ、トランザクションデータ(一般的にはマークルツリーで表される)が含まれている。(Wikipediaより) 簡単に言えば、信頼できない人が多少紛れ込んでいても、 改ざんすることが難しい、分散共有データベースです。ブロックチェーンを利用すると、今までコストや組織間調整の負荷のために難しかったデータやビジネスロジックの共有が、より安価に、かつ簡単にできるようになります。 近年のウェブとインターネットの飛躍的な発展における情報革命によって、人々のコミュニケーション能力、情報収集能力は有史以来飛躍的に向上しました。 しかしながら、インターネットの機能はまだまだ不完全であり、特に認証、決済、信頼担保等の点において大きな技術的欠陥を抱え、フェイクニュースや詐欺などが横行しています。 そのような中、2007年にSatoshi Nakamotoが発明したとされるBitcoinが登場し、

By G.U.Staff
暗号通貨勉強会:最近の各種ハックなど

暗号通貨勉強会:最近の各種ハックなど

* 20歳のシンガポール人のLamがアメリカ人から$230M相当のビットコインを騙し取り逮捕された。Googleを装い「アカウントがハックされた」と電話して被害者にセキュリティコードを提供させ、GmailとOneDriveで暗号通貨の情報を探しGeminiの口座があることを発見。Geminiのセキュリティチームのふりをして口座がハックされたと電話、被害者に$3Mを送らせる。さらにリモートデスクトップソフトウェアをダウンロードさせ、4100BTCがあるアドレスのプライベートキーを表示させてBTCを騙し取った。共犯者がVPNを使わずにTradeOgreのアカウントを作ったことから住居が判明、そこから足がついた。Lamは31台の高級車を購入、家賃が月々$68,000するような高級住宅を複数賃貸、さらにナイトクラブで一晩に$500,000使うなどしていた * テレビのドキュメンタリー、Money Electric:The Bitcoin Mysteryで、ビットコイン初期開発者のカナダ人Peter Toddがサトシナカモトである、とし、Peter Toddはこれを強く否定するが、殺人・誘拐

By Chika Watanabe