今週末のClubhouseでの暗号通貨勉強会で話す話題です。
- Binance、イギリスでの事業が実質上不可能に
- ステーブルコインUSDCを発行するCircleが上場予定
- EOSのBlock.oneがローンチ予定の取引所Bullishも上場予定
- 中国のビットコインマイニング禁止とその考察
Binance、イギリスでの事業が実質上不可能に
6月29日にイギリスのThe Financial Conduct Authorityが「Binanceは英国内で事業を行うために必要な認可・登録・ライセンスが何もない」と見解を発表、それ以降、大手銀行のBarclaysや、Sandtander銀行がイギリス国内の口座保有者のBinanceへの送金を停止。さらにヨーロッパのペイメントネットワークのSEPAもBinanceへの送金を停止、7月12日にはペイメントプロセッサのClear JunctionがBinanceとの取引を中止し、Binanceはイギリスポンド、ユーロの引き出しを停止。
(余談ですがタイのSECもBinance問題を指摘)
ステーブルコインUSDCを発行するCircleが上場予定
Circleはクリプトペイメントやカストディを行うが、最大の事業はステーブルコインUSDCの発行。SPACとの合併により上場予定で、Circleの企業価値は$4.5B。
USDCは現在約$25 billionが流通している。
Circle Yieldとして、USDCを1ヶ月預入すると年利4%(12ヶ月定期で4.15%)でUSDCの利子がつく預金サービスも提供。これは主に企業顧客を対象としており、申し込み時の質問が「預けたい金額は$100,000以下、$10 million以下、それ以上のどれか」となっている。このUSDC預金は、Circleがビットコインでovercollateralizeして保有 (←前々回の暗号通貨勉強会で、「米ドルを借りてビットコイン先物運用したらノーリスクで儲かるが、暗号通貨運用向けに米ドルを貸し出す金融機関がなかなかない、という話をしたが、その問題が解決する)。
USDCのステーブルコインとしてのマーケットシェアは下のグラフの通り拡大中
CircleはUSDC以外でもペイメント等の機能をAPIでも提供しており、Dapper、FTX、Topshot、Compoundなどメジャー企業が利用。さらにVisaと提携してVisaの決済ネットワークのVisaNet上でUSDC決済もできるように整備中。
EOSのBlock.oneがローンチした取引所のBullishも上場予定
Bullishは、今年5月にBlockOneが$100 millionのキャッシュ、164,000ビットコイン、20 million EOS、その時点での総額$10 billionを投下して設立した取引所。
Circle同様SPAC合併により上場予定で、企業価値は$9 billion。合併するSPACのトップはもとNYSE(ニューヨーク証券取引所)プレジデントのTom Farley。
Circleと大幅に違うのは、まだ製品(取引所)がないこと。今年中に開始予定とされる取引所は中央集権取引所なのに取引記録はEOSチェーン上で記録するとしている。
EOSは2017年から2018年にかけてICOで$4 billionを調達、Ethereumキラーが売り文句だったが、コンセンサス方式のDelegated Proof-of-Stakeがうまく働かず開発者が離れている。
まだない製品を上場させるバブル的出来事だが、陰謀論的には、「BullishがEOSチェーンを使うことで取引料がBlock.oneに入る」「大量のビットコインを持っていることでビットコインファンド的に投資家がついているエンタープライズソフトウェア会社のMicrostrategyのように、ビットコイン投資の代替としてBullish株が買われる」とも言われている。
中国のビットコインマイニング禁止とその考察
中国政府のマイニング禁止は今回は本気らしく、中国国内でのビットコインマイニングのハッシュレートが90%減少。7月
元々中国のマイナーは冬は新疆ウイグル、内モンゴル等の火力発電でマイニングをし、6月後半に設備を四川に送って水力発電でマイニングをする、という「渡り鳥マイニング」をしていた。
今回の禁止の経緯は、まず3月1日にモンゴルで規制強化、3月末には完全に禁止へと以降。4月末にまだモンゴルで営業していたマイナーの設備は全て差し押さえられ没収された。そうした中、早めにモンゴル・新疆ウイグルでのマイニングを切り上げて四川に移っていたマイナー等もいて、四川でも同様のマイニング禁止令が出ることを恐れた大手マイナーが「自主規制宣言」を6月2日に出したが6月18日に四川でも全マイニング禁止令が出た。さらに南西部の雲南省でも6月末に禁止令が出た。
中国マイナーの設備は欧米の安全基準に適合しないものも多く、またアメリカは対中措置としての関税があるため、多くのマイナーは中国からの脱出先としてカザフスタンなど中央アジアを選んでいるが、一部カナダに出ていったところも。
考察
- ビットコインマイニングの6割を越していた中国の9割が稼働中止してもオンチェーンの取引が継続しているビットコインの底力が証明されたと言えるのでは
- 中国にマイニングの過半があるのはビットコインのセキュリティ上望ましい状態ではなかった。中国のマイニング禁止により分散化が進むのは長期的なネットワークの安定につながる好ましい事態
Clubhouseでの暗号通貨勉強会は、西海岸:7/17(土) 7pmより 日本:7/18(日)11amより