2021年11月21日に行ったClubhouseの暗号通貨勉強会で話した内容です。会話の録音は上記ポッドキャストからどうぞ。
- Microstrategyはなぜビットコインを大量所有するのか
- PlanBのビットコイン価格予測モデルS2FとS2FX
- ENSトークンエアドロップ
- その他もろもろ
Microstrategyはなぜビットコインを大量所有するのか
Microstrategyはビジネスインテリジェンス系エンタープライズソフトウェア企業で、社員2000人、売上約$500M。以下同社CEO、Michael Saylorの11月9日のインタビューのコメントの要約です。
- 2020年前半時点で会社の余剰資金は$500Mでこれが金利0.2%で運用されていた。4月以降アメリカのキャッシュばらまき政策でインフレが来ることが明らか、これが年利にして25%と予測、このままの運用を続けると1年で$500Mx25%=$125Mの資産価値が失われると考えた。そこで、その時点で$10,000だったビットコインを買うことにした。ビットコインは「デジタルゴールド」であり、機関投資家も買い始めることは明らかだった
- 公開企業として勝手にビットコインを買うわけにはいかないのでまずプレスリリースを出した。$250M分の株を$140で買い取る、残りの$250Mはビットコインを含む資産で運用することにする、と発表。
- (この時点での株価は$120)
- 1週間後にもう一度プレスリリースを出し、$250Mはビットコインを買うことにしたと発表。結果$60M分の株主が買取に応じた
- この時点で「会社の資産でビットコインを買うこと」を承認する株主だけが残った
- 最終的に$425M分のビットコインを買い入れ
- その後でSquareとPaypalが会社の余剰資金でビットコインを買った。
- (この時点で株価は$300)
- さらに$650M分の転換社債を発行しビットコインを買った。転換社債の利息は0.75%、転換価格は37%のプレミアム付きで$398とした。結果、2020年に発行された社債でトップのパフォーマンスとなった
- さらに$1.5B分の転換社債を今度は利息0%、転換価格は〜50%プレミアムの$1432で発行、ビットコインを買った
- ビットコインは価格が乱高下するからこそ価値がある
- 米国会計上、ビットコインはindefinite-life intangible(耐用年数を確定できない無形資産)と分類され、1)価格が上がっても評価額を上げられないが、下がったら下がった額で財務諸表にいれなければならない、2)特別収益ではなく営業収益にカウントされる、という厳しい扱いを受けている。Microstrategyはビットコインを資産として持つことに了承した株主がいるから成り立っているが普通の会社ではなかなか難しい。
- 現在の持ち分は114,042ビットコイン(1 BTC=$60,000で$6.8B)。
- (株価は$752)
PlanBのビットコイン価格予測モデルS2FとS2FX
伝統的金融機関でクアントをしてきたオランダ人で、PlanBというハンドルで知られる人のビットコイン価格推移予測モデル。2019年3月にS2Fを発表、2020-2024年の間でBTC価格は55,000と予測、2020年4月にS2Fを修正したS2FXモデルを発表し同2020-2024年期間にBTC価格は$288,000と予測。
1)S2Fモデル
- ビットコインの価値はその希少性に基づいている。
- 希少性は「ストック / フロー」で数値化できる。ストックとは既存のアセット量で、フローはその年に新たに採掘される量。例えばゴールドは185,000トンの既存アセット量があり、3000トンが毎年採掘される。よってS/F=62で、毎年掘り続けてもすでにある量に達するのに62年かかることになる。
- ストック / フローをビットコインに適用して予測すると、2020年5月の半減期後のビットコインの総市場価値は$1T、一兆ドルとなり、逆算するとビットコインの価値は$55,000となる。
- PlanBの原文はこちら
2)S2FXモデル
- ビットコインの過去の市場価値合計を縦軸、S2Fを横軸にとってプロットすると、4つのクラスタに固まる。それぞれのクラスタは、水が個体、液体、ガス、超臨界水、と相転移していくように、「ビットコインとは何か」という概念が変わっていったことを表すと考えられる。ビットコインの「相」は、プルーフオブコンセプト、ペイメント、Eゴールド、金融資産、とこれまで変わってきた。そして相の移行はだいたい4年に一回やってくるビットコイン半減期(マイニングの報酬が半分になる)ごとに起こっている。
- これまでのそれぞれのクラスタの中心とその時点での「相」を見ると下記のようになる
- S2F=1.3 市場価値 $1M プルーフオブコンセプト
- S2F=3.3 市場価値 $58M ペイメント
- S2F=10.2 市場価値 $5.6B Eゴールド
- S2F=25.1 市場価値 $114B 金融資産
- ここでプロットにさらにシルバーと銀も加えると
- シルバー:S2F=33.3 市場価値 $561B
- ゴールド:S2F=58.3 市場価値$10,088B
- となり、見事にビットコインのクラスタ中心のプロットの延長線上に重なる
- これらの点から、S2F=56となる2020-2024年市場価値は exp(12.7598)*56^4.1167=$5.5T
- 流通量の19Mで割ってBTC=$288,000となる
(以上グラフを見ながらの方がわかりやすいと思うので、オリジナルのPlanB氏のエントリーを参照ください)
ENSトークンエアドロップ
- Ethereum Name Service(ENS)は2017年5月に始まったサービスで、ウォレットアドレスの文字の羅列の代わりに簡単で分かりやすい文字列が使える。
- そのENSが、11月8日にガバナンス用のENSトークンを発行、すでにドメインを登録している137,689アドレスのユーザにエアドロップで2500万トークンを配布
- エアドロップを受けたユーザは来年の5月4日までの間に登録が必要
- 登録に際しては、ENSのガバナンスにかかる4つの規定に投票し、自分の投票を委任する人・組織を選ぶ必要がある
- エアドロップされたENSの量は0.27 * (.ethアドレスが登録されてからの日数) + 0.067 * (アドレスが失効するまでの日数)、さらにプライマリENSネーム(リバースレコード)が設定してあると2倍となる。
- 8月にchikawatanabe.ethを5年分登録し、プライマリENSネームも設定した私には252 ENSがエアドロップされました
その他もろもろ
- 去年の8月に$8,000分のSHIB(芝犬コイン)を買った人のSHIBの価値が$5.7Bに
- crypto.com がマットデーモンを起用した広告を流し始める
- アート系NFTに投資するFlamingo DAO、参加のミニマムはDAO全体の1%の330 ETH、最大は9%の2970 ETH
- Robinhoodの四半期売り上げ$365Mのうち40%が暗号通貨取引からの収入、その60%がDogecoinからのもの