暗号通貨勉強会:世界2位の暗号通貨取引所FTXに何が起こったのか
上記はこの件について話した勉強会のポッドキャストです。
■FTX倒産の経緯
- 11/2(水曜) Coindeskが「Alameda Researchの資産のうち、FTXが発行したトークンFTTが占める割合が高く、総資産$14.6B中$5.8BがFTTトークン」と報道。Alameda ResearchはFTXの兄弟会社でトレーディングを行っていた。FTXが作り出した何の担保もないトークンがAlamedaの資産の多くを占めるのは危険
- 11/6(日曜) この報道を受け、BinanceのトップのCZが、Binanceが所有するFTTトークン約$500M分を全売却するとツイート https://twitter.com/cz_binance/status/1589283421704290306
- もともとBinanceはFTXに投資しており、その持分約$2.1B分を2021年にFTXが買い戻した。その際にBinanceのステーブルトークンBUSDとFTTが支払いに使われていた。その時のFTTを売却
- 数分後にAlamedaのCEOが$22でBinanceのFTTトークンを買うとツイート
- 同日、CZのツイートを受けFTXへの不安が広まりFTXへの引き出し請求が殺到、1日で$5B分の引き出しを処理
- 11/7(月曜)FTXが引き出しを全てストップ
- 11/8(火曜)CZが、FTX救済のためBinanceがFTXを買収すると発表
- 11/9(水曜)しかし、”the issues are beyond our control or ability to help”としてBinanceのFTX買収はなくなったと発表
- 同日 SECが顧客資産を流用した件でFTXの調査を始めることを発表
- 11/10(木曜)バハマ市民は引き出しできることに
- 同日 TRONを設立したJusin SunがTRONでのFTX引き出し分に限ってFTXからの引き出し分を肩代わりすることを発表
- 11/11 (金曜)FTXが関連会社130数社について、日本の民事再生に相当するチャプター11を申請。Alameda Research、FTX USも含まれていた
- 同日 FTX CEOのSam Bankman-Fried (SBF) が辞任、代わりにエンロンで事業清算を指揮したJohn Rayが就任
- 同日夜 FTXのコールドウォレットがハックされ、トータル$600M分が盗まれる。うち$300M分は口座凍結等で動かせなくなるが残り$300M分は吸い取られる
- 11/12(土曜)FTXは$9Bの負債と$1Bの資産があり、差額の$8B分の穴があることが判明
- CEO John Rayのコメント:
he had never seen “such a complete failure of corporate controls and such a complete absence of trustworthy financial information as occurred here.”
- 11/16 (水曜)6月に倒産してその余波がクリプト界に広がったThree Arrows Capitalの共同創業者Kyle Daviesが「AlamedaがThree Arrowsのポジションを攻撃したのがThree Arrows倒産の直接の要因」とインタビューで発言
- FTXの会計をごまかすソフトウエアがある事が判明、監査人、社内の人が見られるバージョンと、それとは異なるバージョンがあり、FTXからAlamedaへの資金流用はごく一部の人だけしか見えないようになっていたことから、長いことFTXからAlamedaへの不正な資金流出が行われていた模様
- FTXの資産のうち$5.9BはFTT(クラッシュ後は$553M)、$5.4B 分は同じくFTXが発行したSRM(クラッシュ後は$2.2B)だった
- SBFはAlamedaから$1Bのローンを受けていた
- 「トークン発行」→「自分でトークンを大量に購入」→「価格操作で高い価値をつける」→「そのトークンを担保に資金を借りる」→「FTXが預った資金で価格操作をし続ける」という手口か?
- SBFはEffective Altruismを信奉していることでも知られていた。これは「最大限に儲けた資金を慈善活動に使うことでより良い社会を生み出す」という概念で、大統領選では$10Mをバイデンに寄付、今回の中間選挙では$40Mを民主党候補に寄付していた