上記はこの件について話したポッドキャストです。
■概要
- 業界最大の機関投資家向けレンディングを行ってきたGenesisの倒産が危ぶまれている
- Genesisは最も多かった時で$50Bのローンを貸し出していた
- $1B分のFTT(FTXのトークン)を担保として受け取っていた
- GenesisはThree Arrows Capital(3AC)にも$2.3 billionを貸していて、これが焦げ付いていた(Genesisの全ローンの47%)
- 11月16日にGenesisが引き出し停止
■問題の背景
- GenesisはDigital Currency Group(DCG)の子会社で、OTCで取引されているビットコインのトラスト・ファンド、Grayscale も持っている(メディアのCoindeskもDCG子会社)
- Grayscaleはビットコインのトラストファンド(GBTC)を運用しており、現在$10B相当。これはGrayscaleがビットコインを所有、それを細分化して株として公開市場で買えるようにしているもの。Grayscaleは2.5%の手数料を受け取っていた
- Grayscaleのビットコインのうち635,000 BTC、約$11B分はCoinbase Custodyに預けられている
- GBTCは元々持っているビットコインの額よりトラストファンドの総額の方が高いというプレミアムがついていたが、2021年2月にこれがディスカウントに転じた
- プレミアムが続いていた時点では、「GenesisからBTCを借りて、GrayscaleからGBTC株を買い半年のロックアップ後に売却、BTCを返済するとプレミアム分だけ利益が出る」というアービトラージがあったが、ディスカウントに転じた時点でそのポジションが損失となった。ディスカウント化の理由はカナダのビットコインETFなどより安価にBTCエクスポージャーを買える代替品が出たからと言われている。さらに信用不安が加わり現時点でのディスカウントは約50%
■Three Arrows Capitalとの関係
- 2021年3月時点で3 Arrows Capital(3AC)がGBTCの6.1%を所有。当時のGBTC総額が約$30Bだったので、$1.8Bに相当する
- さらに、3ACはLuna Foundation Guard(LFG)がリザーブ強化のためにビットコインを$1.5B分買った際にそのうち$500Mは3ACから買っていて、その対価の $200M分はTerraのステーブルトークン、USTで支払っていた。(その後USTはほぼ無価値になったので、3ACは$200M分の損失が出た)
■負の波及効果
- 親会社のDCGがGenesisから$1.1Bを借りてGenesisを増資しており、Genesisの最大のアセットはこのローン。Genesisが倒産するとDCGも倒産を余儀なくされる可能性があり、そうするとGrayscaleはどうなるのかという不安が広がっている
- リテール向けの利子付き口座の多くがGenesisに預けて運用されており、Gemini Earnも$900MをGenesisで運用していたが、Genesisが引き出し停止した11月16日に同じく引き出し停止
業界相関図はこのようになっており、同じ資金が回っていただけ
■その他のニュース
- Cathie WoodのArk InvestはFTX倒産以降GBTCを45万株買っている(現時点で約360万ドル相当)
- Coinbaseが顧客にUSDTからUSDCに乗り換えるよう要請(手数料無料の特典付き)
- Crypto.comがProof of Reservesを公開
- SushiSwapを作って姿を消したChef NomiはSBFでは?
- USTがペグを失うきっかけとなったUST売り注文を出したのはSBFでは?
- SBFはメディアインタビューを次々におこなっているが、その一つで「顧客がBTCを買った時FTXはBTCを買っていなかった。帳簿上の数字が動くだけ」と発言。またFTXに顧客が預け入れたUSD$10Bのうち$5B以上はAlameda Researchの口座に入っており、そのままAlameda が運用していた