MakerというDAO (dicentralized autonomous organization)が発行するイーサリアム上のステーブルコインで、1 DAI=1米ドルの価値が続くように設計されている。ERC20トークンで、「ダイ」という名前は、中国語の「貸」から取られている。2017年12月18日に流通開始。
現在は、イーサリアムを担保として発行されており、CDP(collateralized debt position)と呼ばれるブロックチェーン上のスマートコントラクトにイーサリアムを送ることで発行される。送ったイーサリアムは、発行されたDaiを送り返すと戻ってくる。つまり、CDPにイーサリアムを「貸す」ことで、Daiを「借りる」ことができる。
現在は、発行したいDaiの価値の150%のイーサリアムをCDPに送らなければならない。つまり、1.5ドル分のイーサリアムをCDPに送ると、1 DAIが発行される。この150%を「担保比率」と呼ぶ。
Daiの価格がUS$1より低くなると、CDPをオークションで販売、イーサリアムの価値が、それが担保するDaiの価値より低くなる前に売り払う(質流れ的な)。
イーサリアムの価値が一気に暴落して、オークションが間に合わないような「ブラックスワン・イベント」では、Makerが発行するもう一つのコイン、makercoin (MKR)が威力を持つ。
MKRホルダーはDaiのガバナンスを行なっており、投票によりDaiとイーサリアムの担保比率を変更できるため、ハイリスクだと判断したら比率を上げることもできる。また、発行上限額などの決定権もあり、こうしたガバナンスの報酬としてフィーを受け取る。
その一方で、DAI発行時の担保の価値が発行されているDAIの価値を下回ると、自動的に新しいMKRが発行され、それを市場で売った代金がDaiの担保不足に補填される。つまり、MKRホルダーは、ガバナンスを間違えると自分の持分が希釈化されることになる。
MKRホルダーは重要な役割を果たすため、MKRは限られた市場 (OasisDEX、 Bibox)でしか流通しておらず、投機的投資家の参入を防いでいる。主だったところでは、2017年12月に1200万ドル分、2018年9月に1500万ドル分のMKRをベンチャーキャピタルに売却した。Andreessen Horowitzが主要投資家として知られる。
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