これまで2週間にわたって書いた通りステーブルコインは現状アメリカドルに連動しているのが普通なのだが、そうでないものもある。
たとえばDigixGoldは「金連動型」。DigixGoldの発行量に相当する「金の延べ棒」が金庫に積んであり、誰かが「金を買い戻したい」と言ってきたらその金庫から金を出して渡せる。DigixGoldの金庫は、これまでシンガポールに二箇所あったが、さらに2月1日にカナダの貴金属商、SilverGoldBullとのパートナーシップの元カナダにも加わった。
ちなみに、金の価値に連動するETF(上場投資信託)も世の中にはあるのだが、意外に歴史が浅くて2003年にはじめてオーストラリアで取引が開始された。歴史的金相場は結構上下動が激しいのでETFの影響を切り離すのは難しいが、取引が容易になった(=金の延べ棒を物理的に動か作てもよくなった)ために金の価格が上がったとされる。
DigixGoldはまだ市場価値が400万ドル程度と小さいので金相場がこれで動くようなものではないが、ブロックチェーン上でリアルワールドの資産価値を取引するのが広まれば、金の価値を上げる要因にはなるだろう。
これ以外には、「ビットコインの価値に連動したステーブルコイン」のWrapped Bitcoinというものもある。ERC-20準拠なので、「イーサリアム上でビットコインの価値に連動したトークンを扱う」ということができる。
さらに、同じくERC-20準拠のものに、イーサリアムの価値に連動したステーブルコイン、WETHもある。イーサリアム自体はERC-20準拠でない、という点を解消したものだが、意外なことに24時間で5000万円分くらいが取引されている。WETHのサイトでは、
HOPEFULLY, THERE’S NO FUTURE FOR WETH.
となっている。
「望ましくは、WETHには未来はない」ということで、「将来はイーサリアム自身がERC-20準拠になるか、そもそもERC-20自体が他のスタンダードに取って代わられる可能性があり、そうした望ましい自体が起こればWETHの存在意義はない」ということで。サイトはとてもかわいいので存在している間にご一覧あれ。