4月の米国の暗号通貨・ブロックチェーン関連資金調達

4月の米国の暗号通貨・ブロックチェーン関連資金調達
Photo by Austin Distel / Unsplash

4月に米国で資金調達した暗号通貨・プロックチェーン系の案件です。

「環境に優しくない」と言われたBitcoinマイニングをグリーンにすべく、再生
可能エネルギー利用などを利用したマイニングを運営する会社が最近毎月資金調
達していますが、4月は「石油採掘の副産物の天然ガス利用」というところが増
資しました。

暗号通貨取引・ブロックチェーンプラットフォームのPaxosが$300M調達

暗号通貨取引所のitBitとして始まり、現在はPaxosの名称で取引・カストディサ
ービスを提供。ステーブルコインのPaxos Standardも運用。他の金融機関のバッ
クエンド業務に力を入れており、例えばイギリスのフィンテック銀行Revolutは
Paxosの顧客。Revolutのビットコイン取引はPaxosが提供している。

許認可: 現在厳しいニューヨーク州の規制のもとで営業しているが、さらに
Trust Bank Charter(信託銀行免許)を国に対して申請、4月に仮認可されてい
る。また、SECにClearing Agencyとしての登録も申請しており、シンガポール
でもMajor Payment Institutionライセンスを申請中で「遵法暗号通貨バックエ
ンド」への道を邁進している。

暗号通貨以外のブロックチェーン取引プラットフォーム:暗号通貨から離れて、
ブロックチェーンを使った金融取引機能も大手金融機関に提供している。

  • Paxos Settlement Service: ブロックチェーンを使った米国株取引の
    セトルメント。クレディ・スイス、野村、ソシエテジェネラル、バンカメ
    (Bank of America)が利用
  • Paxos Confirmation Service: 各種取引コンファメーション。StoneXが
    プレシャスメタル取引に利用

株取引のクリアリングは、これまで何十年もDTCC (Depository Trust &
Clearing Corp.) がほぼ独占的に行ってきたが、DTCCでのクリアリングには
実質2日かかる「T+2」がほとんどだった。T+0で決済できるPaxos Settlement
Serviceはその競合となる。

余剰天然ガスでマイニングを行うCrusoe Energy Systemsが$128M調達

石油採掘の副産物の天然ガス(主にメタンガス)はその場でflare gasとして
燃やされてしまうことが多く環境悪化につながっている。Crusoeはこの天然
ガスを利用して発電、マイニング用のデータセンターを運用。2018年の創業
以来、これまでに40箇所にデータセンターを設置、2022年には100箇所に拡大
予定。さらにデータセンター周辺に光ファイバーとワイヤレスの高速インターネ
ットも提供。Winklevoss兄弟も出資。

「ブロックチェーン界のAWS」Alchemyが$80M調達

スタンフォード大学、同大学の元学長なども出資。ローンチ8ヶ月で$505M
バリエーションに。さらに今回のラウンドも$200M以上オーバーサブスクライブ
されており、近いうちにより大きなバリエーションで次の増資を行うとしてい
る。

Alchemyを利用しているプロジェクトはBitGo、Circle、AAVE、0x、Dapper、
yearn.finance、Sushi、dy/dx、OpenSea、Nifty Gateway、など錚々たる顔ぶ
れ。

利用するとBitcoinが当たるVisaデビットカードを発行するFoldが$17.4M調達

Venmo、PayPalまたはApple Cashから入金、または銀行口座から送金する
などしてFoldのアカウントに入れた資金を使えるFold Cardを発行。Visaカード
としてどこでも使え、使ったあとに「spin the wheel」するとBitcoinが当た
る。

下記がそのwheelだが、書いてある数字の単位は1 Bitcoinの1億分の1の
Satoshi。5万Satoshi(0.0005 BTC、約$20)貯まると自分のBitcoinウォレット
に取り出すことができる。

「ついに金額の単位としてSatoshiを聞くことになった」という感慨がある。

その他
  • ブロックチェーンプロジェクト開発用言語のDAMLを提供するDigital
    Assetが$120M 調達
  • クリエイターが簡単に「自分コイン」を発行できるRallyがICOで$57M
    調達
  • セキュリティトークン発行プラットフォームのSecurrencyが米国大手
    金融機関のUS Bank、State Street等から$30M調達
  • セキュリティトークンのマーケットプレースTemplumが$14.7M調達
  • DeFiのNotional Financeが$10M調達
  • クロスチェーン・デリバティブ取引のInjective Protocolが$10M調達

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ブロックチェーン技術(初級編Ⅱ)

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ブロックチェーン技術(初級編I)

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