4月の米国の暗号通貨・ブロックチェーン関連資金調達

Cryptocurrency
 | 2021-05-28

4月に米国で資金調達した暗号通貨・プロックチェーン系の案件です。

「環境に優しくない」と言われたBitcoinマイニングをグリーンにすべく、再生
可能エネルギー利用などを利用したマイニングを運営する会社が最近毎月資金調
達していますが、4月は「石油採掘の副産物の天然ガス利用」というところが増
資しました。

暗号通貨取引・ブロックチェーンプラットフォームのPaxosが$300M調達

暗号通貨取引所のitBitとして始まり、現在はPaxosの名称で取引・カストディサ
ービスを提供。ステーブルコインのPaxos Standardも運用。他の金融機関のバッ
クエンド業務に力を入れており、例えばイギリスのフィンテック銀行Revolutは
Paxosの顧客。Revolutのビットコイン取引はPaxosが提供している。

許認可: 現在厳しいニューヨーク州の規制のもとで営業しているが、さらに
Trust Bank Charter(信託銀行免許)を国に対して申請、4月に仮認可されてい
る。また、SECにClearing Agencyとしての登録も申請しており、シンガポール
でもMajor Payment Institutionライセンスを申請中で「遵法暗号通貨バックエ
ンド」への道を邁進している。

暗号通貨以外のブロックチェーン取引プラットフォーム:暗号通貨から離れて、
ブロックチェーンを使った金融取引機能も大手金融機関に提供している。

  • Paxos Settlement Service: ブロックチェーンを使った米国株取引の
    セトルメント。クレディ・スイス、野村、ソシエテジェネラル、バンカメ
    (Bank of America)が利用
  • Paxos Confirmation Service: 各種取引コンファメーション。StoneXが
    プレシャスメタル取引に利用

株取引のクリアリングは、これまで何十年もDTCC (Depository Trust &
Clearing Corp.) がほぼ独占的に行ってきたが、DTCCでのクリアリングには
実質2日かかる「T+2」がほとんどだった。T+0で決済できるPaxos Settlement
Serviceはその競合となる。

余剰天然ガスでマイニングを行うCrusoe Energy Systemsが$128M調達

石油採掘の副産物の天然ガス(主にメタンガス)はその場でflare gasとして
燃やされてしまうことが多く環境悪化につながっている。Crusoeはこの天然
ガスを利用して発電、マイニング用のデータセンターを運用。2018年の創業
以来、これまでに40箇所にデータセンターを設置、2022年には100箇所に拡大
予定。さらにデータセンター周辺に光ファイバーとワイヤレスの高速インターネ
ットも提供。Winklevoss兄弟も出資。

「ブロックチェーン界のAWS」Alchemyが$80M調達

スタンフォード大学、同大学の元学長なども出資。ローンチ8ヶ月で$505M
バリエーションに。さらに今回のラウンドも$200M以上オーバーサブスクライブ
されており、近いうちにより大きなバリエーションで次の増資を行うとしてい
る。

Alchemyを利用しているプロジェクトはBitGo、Circle、AAVE、0x、Dapper、
yearn.finance、Sushi、dy/dx、OpenSea、Nifty Gateway、など錚々たる顔ぶ
れ。

利用するとBitcoinが当たるVisaデビットカードを発行するFoldが$17.4M調達

Venmo、PayPalまたはApple Cashから入金、または銀行口座から送金する
などしてFoldのアカウントに入れた資金を使えるFold Cardを発行。Visaカード
としてどこでも使え、使ったあとに「spin the wheel」するとBitcoinが当た
る。

下記がそのwheelだが、書いてある数字の単位は1 Bitcoinの1億分の1の
Satoshi。5万Satoshi(0.0005 BTC、約$20)貯まると自分のBitcoinウォレット
に取り出すことができる。

「ついに金額の単位としてSatoshiを聞くことになった」という感慨がある。

その他
  • ブロックチェーンプロジェクト開発用言語のDAMLを提供するDigital
    Assetが$120M 調達
  • クリエイターが簡単に「自分コイン」を発行できるRallyがICOで$57M
    調達
  • セキュリティトークン発行プラットフォームのSecurrencyが米国大手
    金融機関のUS Bank、State Street等から$30M調達
  • セキュリティトークンのマーケットプレースTemplumが$14.7M調達
  • DeFiのNotional Financeが$10M調達
  • クロスチェーン・デリバティブ取引のInjective Protocolが$10M調達

Chika Watanabe

Born in Japan, lives in Silicon Valley. Japanese Blog: chikawatanabe.com English Blog: eng.chikawatanabe.com

Great! You've successfully subscribed.
Great! Next, complete checkout for full access.
Welcome back! You've successfully signed in.
Success! Your account is fully activated, you now have access to all content.